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2007/6/17開始 2007/8/10改装&リネーム                                                                    ©2006 Actozsoft, All right reserved. ©2006 Gamepot Inc, All right reserved.
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 ラテール創作小説 Revolution
 
今回でこの話は最終話です。
お読みいただく場合はつづきをどうぞ。
    ラテール
ジエンディアサイドストーリー
            ~美月夜~

「最終話、意思を継ぐ者」


美月夜とルディスが対峙するその場は周囲の地面が崩れており、
その隙間から溶岩が噴出していた。
 
「さて、あまり時間もなさそうだし、始めさせてもらうよ。」
 
そういったルディスの手元には一本の槍が握られており、その槍からは
黒い何かが噴出してきた。
 
「ルディス・・・その槍は・・・」
 
「ああ、これかい?」
 
ルディスは手元の槍を右手一本で持ち、美月夜のほうへ向かって突き出した。
 
「これは怨念桜ソウルスピアっていってね。亡霊達の力が込められているんだ。」
 
「怨念・・・」
 
「まあ君のウルフスピアと似たようなものさ。僕も少し特殊な槍を持っているってだけ。」
 
オオォォォ・・・

ルディスの持つ槍から黒い怨念が噴出し、渦巻いている。
 
「ルディス、もう一度だけ聞く。どうしてこんなことするんだ?」
 
「やれやれ、君も結構くどいね。世界に絶望したから、だよ。」
 
「絶望だって?」
 
「申し訳ないけど、君とお話するつもりはないんだ。時間もないことだし・・・ね!!」
 
そう言ってルディスは地面を蹴り、美月夜との間合いを詰める。
 
「くっ!!」
 
不意をつかれた美月夜だったが、過去にわたってこなしてきた訓練が美月夜の
体を自然と突き動かした。
 
ガキン!!
 
ルディスの突進に合わせて美月夜は同時に飛び込み、二人は槍を重ねあう状況で
押し合う形となった。
 
「七瀬流槍術・・・か。だけどそれが君だけのものと思わないほうがいいよ。」
 
「なんだって!?」
 
ルディスは咄嗟に体を回転させながらその場に沈み込み、
槍の柄で美月夜の足を払った。

ヒュン!!
 
そしてそのまま流れるような動きで倒れる美月夜に向かって槍を振り下ろした。
 
(これは、多少変則気味だけど・・・草伏せ!?)
 
美月夜は咄嗟に地面に手をつき、後方へと回転し、この一撃をなんとか外した。
しかしその表情には驚きを浮かべている。
 
「この技は・・・お前は一体・・・」
 
「残念だよ、美月夜。だけど君の力はこんなもんじゃないはずさ。見せてみなよ!!」
 
ルディスは再度美月夜との間合いを詰め、渾身の突きを放った。
しかし美月夜は己の精神を針のように研ぎ澄まし、そのルディスの一撃を見切ろうとする。
 
(この一撃を外せれば・・・!!)
 
美月夜はルディスの突きを寸前まで呼び込みながら、直前でかわした。
そしてそのままルディスの懐へと飛び込む。
 
「これで・・・終わりだ!!」
 
美月夜はルディスの腹部に向けて自身の槍を突き出した。
しかし直撃すると思われた直前、ルディスの姿が消える。
 
「なっ!?」
 
「残念だけど、僕にその戦法は通用しないよ!!」
 
美月夜は咄嗟にルディスの声がする方向へと目を向けた。
 
「こ、これは!!」
 
高速で動くルディスの姿は残像も含め、まるで4人いるかのように美月夜の
目には映る。
 
「これが七瀬流に対する・・・僕の答えだ!!」
 
そしてルディスは高速に動きながら無数の突きを放った。
 
「うあああ!!」
 
その突きは美月夜の体を複数に渡って穿ち、傷口からは鮮血が迸った。
 
「突きの姿勢の後に隙が生じることくらい、僕は百も承知だよ。
その弱点を補うために編み出したのが今の技ってわけさ。」
 
「く・・・は・・・」
 
蹲る美月夜の元にルディスは悠然と歩みよる。
そして槍の穂先を美月夜の鼻先に突き出し、止めた。
 
「確かに君は強いよ。少なくともあの時点では僕より強かったさ。
だけど、僕は必死に努力した。そう、君に勝つためにね。」
 
「ルディス・・・そうか、君は・・・」
 
「僕は天才なんて認めない。そして僕達親子を認めなかった七瀬家の当主も、ね。」
 
-------------------------------------------------------------------------
 
ドンッ!!
 
男の繰り出した強烈な一撃は相手を正確に射抜き、大きく弾き飛ばした。
 
「ふっ、どうだ!!」
 
男は勝ち誇るように道場の奥に座っている初老の男に目を向ける。
 
「まだこれでも俺が当主の器じゃないと言うつもりですか?」
 
男は手元の槍を肩にかつぎながらにやにやと笑みを浮かべている。
 
「確かにお前の業は鋭い、人の命すら容易に奪えるだろう。」
 
「へ、わかってるじゃねえか。」
 
「く・・・」
 
男の一撃によって吹き飛ばされたもう一人の男が頭をかかえながらその場に
起き上がった。
 
「やっぱり兄さんは強いな・・・。俺の負け、だよ。」
 
「こいつもそういっていることだし、早く次期当主を俺に決めたらどうだい。
先生よぉ!!」
 
先生と呼ばれた初老の男はふぅ、と大きくため息をついた後、諭すようにこう
言葉をつむいだ。
 
「勘違いするな。七瀬流は人の命を奪う業ではない。人の命を『守る』ものだ。
それがわからぬお前に当主の資格はない!!」
 
「な、なんだと・・・!!」
 
「・・・出ていくがいい。お前はただいまを持って破門とする。
どこへなりとも好きな場所へ行くがいい。ただし二度とこの門をくぐることは許さん!」
 
「この・・・ジジイがぁ!!」
 
完全にいきり立った男は現当主に向けて襲いかかった。
そして渾身の突きを相手に見舞った。
 
「この・・・愚か者が!!」
 
しかし当主はゆらりと身をわずかにずらし、男の渾身の突きを見事に透かした。
そして槍の柄で男の顎を思い切り打ち抜く。
 
バキィ!!
 
カウンターで顎を貫かれた男は後方にはじかれ、もんどり打って倒れた。
 
「ぐああああ!!」
 
そして痛みでその場を転がりまわる。
 
「お父さん!!」
 
脇で父の戦いを見ていた子供が男の下に駆け寄った。
その子は己の父を倒した相手を精一杯の眼差しで睨んだ。
涙を浮かべながら。
 
「・・・残念じゃが、お前の父は破門となった。ゆえにお前の面倒も
ここで見てやるわけにいかぬ。」
 
「・・・ない。」
 
子供は何やらつぶやく。
 
「父さんは間違ってない!!相手を倒すことが武術の全てだ!それを・・・」
 
そして当主を睨みつけながら宣言した。
 
「僕が証明してみせる!!」
 
-------------------------------------------------------------------------
 
「あの一撃で父さんの顎は砕かれた。そしてその心も・・・」
 
ルディスは美月夜に聞こえるか、聞こえないかというくらいの大きさの声でつぶやく。
 
「その後の父さんは荒れた。そしてその矛先は僕の方へ向けられたよ。」
 
「・・・」
 
「虐待ともいえる僕に続く暴力の日々。だけど僕はくじけなかった。
修行を積み、いつか七瀬流を叩きつぶす!それだけを考えて・・・」
 
「ルディス・・・」
 
「だけど父さんはある日、僕に穂先のついた槍で襲いかかってきたよ。」
 
ルディスは遠い過去を振り返るように独白を続けた。
 
「死を予感したその時、僕の中で何かがはじけたような気分だった。そして悲しいことに
まともに修行をしていなかった父の動きはまるでスローモーションのように見えたんだ。」
 
「そして僕は父を返り撃ちにした。その結果・・・父は死んだよ。」

ルディスの口より語られる凄絶な過去を美月夜は黙って聞いていた。
 
「頭が真っ白になった。そして全てがどうでもよくなったとき、不思議な光に
つつまれたんだ。」
 
「光・・・だって?」
 
「そう、そのとき僕はここにやってきた。そして手にしていたこの槍を握り締めて
こう決めたんだよ。」
 
ルディスは手元で禍々しいオーラを放つ槍に目を落とす。
 
「僕達親子を見捨てた家も!僕を殺そうとした父も!!僕を見捨てたあの世界も!!
全て僕がぶっ壊してやる!!!」
 
ルディスは既に狂気に支配されていた。
その要員は幼い頃にみた地獄だったのか、それとも手にする槍の影響かは定かではない。
 
「違う!!」
 
気がつくと美月夜は叫んでいた。
そして槍を手によろける足取りで懸命に立ち上がる。
 
「違う?何が違うっていうんだい。」
 
「俺も、ばあちゃんも、じいちゃんも、ずっとお前とお前の親父のことを
想っていたんだ!」
 
「嘘をつくな!!」
 
今度はルディスが叫ぶ。
 
「何が人を守るための力だ!結局父さんを壊したのは七瀬じゃないか!!」
 
「じいちゃんはお前の父さんに立ち直ってほしかったんだ!!」
 
「ふざけるな!!」
 
今まで余裕の笑みすら浮かべていたルディスの目に狂気が宿る。
 
「完全に思い出したよ。ルディス。そういえば小さい頃はよく一緒に試合したっけな。」
 
「ふん、今更だね。」
 
「そして理解したばあちゃんが俺にこの槍を託した真の意味に・・・」
 
「意味・・・?」
 
「恐らく今のお前に何を言っても無理だろうな。だから・・・」
 
美月夜は槍を頭上に振り上げ、思い切り振り下ろして眼前で止めた。
 
「今度は俺の力でお前を正す!!」
 
「全く面白いね。くだらないことをよくそうベラベラと・・・」
 
ルディスは全身をリラックスさせた状態でゆっくりと槍の穂先を目の前に突き出し
止めた。
 
「今の君の体で何ができるか・・・見せてもらうよ。」
 
そしてその場に訪れるわずかな静寂。美月夜の額から血の混じった汗が滴り落ちる。
その雫が地面に落下した瞬間・・・二人は同時に動いた。
 
「いくよ!!」
 
先手を打ったのはルディスだった。
先ほどと同様、自身も激しく動きながら、美月夜の周囲を取り囲む。
 
対して美月夜は目を閉じた。
 
(ルディスの動きに惑わされるな。ルディスの居場所を感じるんだ・・・!)
 
そしてカッと目を見開き、ルディスの残像の一つに狙いを定め、美月夜は
思い切り突いた。

「そこだ!!」

美月夜の放った突きは正確にルディスの位置をつかみ、ルディスに向かって迫る。
 
「僕の位置を感じ取ったことは褒めてあげるよ!だけど!!」
 
ルディスは美月夜の決死の一撃を半身を捻って透かした。
 
「バカだね!今度は逆に君の顎を頭ごと貫いてあげるよ!!」
 
美月夜の懐に飛び込もうとするルディス。
しかし美月夜は全身の筋肉を無理矢理引張り、次の動作に供える。
 
「う・・・おおおぉぉ!!!」
 
美月夜は鋭く回転し、ルディスが懐に飛び込むより早く回転を生かしたなぎ払いを
放つ。
 
「な、なんだって!?」

バキッ!
 
美月夜の放った渾身の一撃はルディスの腕を槍ごとはじく。
さらに美月夜の回転は止まらない。

「ああああああ!!」
 
全身の伸び上がる力をそのまま生かしさらに回転に勢いをつけて、
再度ルディスをなぎ払う。
 
その姿はまるで一頭の龍が天に昇るかのように錯覚させられる連撃だった。

バチィィ!!
 
美月夜の放った最後の一撃は槍の腹の部分でルディスの頭を捕らえ、
大きく弾き飛ばした。
 
そして美月夜はそのままがっくりと膝をつく。
 
「・・・七瀬流槍術奥義『龍昇槍撃』」
 
「ぐ・・・あ・・・」
 
ルディスは美月夜の一撃で意識が朦朧とし、立ち上がることができない。
 
「どうしてだ・・・やっぱり僕は君には勝てないっていうのか!?」
 
「勝ち負けなんてくだらないよ。少なくとも今回は俺の負けだし、な。」
 
「気休めはやめろ!!」
 
ルディスは震える膝を手で懸命に押さえ、立ち上がった。
 
「それが証拠さ。俺はもう立ち上がる力さえ残ってない。」
 
「そうか・・・じゃあ望み通り、トドメを刺してあげるよ。」
 
ルディスは飛ばされた槍を探して周囲を見渡した。
 
「な・・・これは・・・」
 
槍を見つけたルディスは絶句した。
先ほど美月夜の放った一撃で槍は中央から見事にへし折られていたのだ。
 
「武器がその状況じゃお前ももう戦えないな。この戦いはここまで、さ。」
 
「ふざけるな!こんなこと・・・で!」
 
「もうやめて、二人とも!!」
 
そのときその場に響き渡る少女の声。
 
「あ・・・やの・・?」
 
美月夜の視線の先には今まで捜し求めていた少女の姿があった。
 

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