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2007/6/17開始 2007/8/10改装&リネーム                                                                    ©2006 Actozsoft, All right reserved. ©2006 Gamepot Inc, All right reserved.
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ラテール創作小説 第2部 です。

今回は特に伝えておくべき前置きはありません。
このストーリーの結末はご覧いただく方の目で確かめてみてください。

なお、話の内容としては今回が最終話となります。






ラテール
ジエンディア サイドストーリー
         ~メイリーナ~

『最終話、メイリーナ』




[アースガルド]

[玉座の間]

部屋の中には一人の少女の嘲笑が響き渡る。
やがて少女は笑うのを止め、その場に倒れた3人に目を移した。

「まだ生きてるみたいね。まずはあなた達から殺してあげる。」

メイリーナの身体に憑依したイリスはそう言いながら倒れた3人に向かって向き直る。

「アイススピアー!」

イリスはその場から小さくバックステップして、自身に向けられた氷の矢をかわす。

「意識を取り戻していたのね。」

その場に倒れていたあいかが起き上がる。
そしてすぐに魔法の詠唱を始める。

「無駄よ、今更あなた一人で何ができるというの?」

「二人は私を命がけで救い出してくれた。だから次は私の番!」

あいかは紡いだ魔法力を解き放つ

「ヘイルストーン!!」

「この程度の魔力で・・・」

イリスは防御の姿勢をとるわけでもなく、その場に踏みとどまる。
あいかは素早く背中の楽器をとりだし、演奏を始める。

あいかの奏でる音色は倒れている二人の傷を癒した。

それに応じて倒れていたアルファドとさみゅが起き上がる。
その身体の傷はあいかの癒しの演奏によって消えていた。

「さんきゅー、あいか。助かったぜ」

「意識が戻ったのね、よかった・・・」

「二人ともありがとう。私はもう大丈夫。あとは・・・」

「そうだな。そろそろケリをつけようぜ」

「今更許しを請っても遅い」

3人はイリスに向かって武器を構えた。

ギイィ・・・

その時部屋の入り口の扉が開き、ハルが左手で肩を抑えながら部屋に入ってきた。
それにこなた、フリアータ、ヘレンの3名が続く。

「お待たせ、真打ち登場って奴だ。」

「ハル!無事だったか。」

「ああ、なんともない」

「よういうわ、ボロボロの身体のクセして。まあ、あとはワイらがなんとかするから休んどき!」

フリアータは背中から弓を取り出し、構える。

「あれはメイさん・・?それとも・・・」

その場にいる全員がイリスに向かって向き直る。

「あはは!ゾロゾロと集まってきて。それでなんとかなると思っているの?」

「人の身体を借りなきゃ、何もできない奴がよく吼える」

アルファドの言葉に反応してイリスはその目をぎらつかせる。

「・・・後悔させてあげるわ!!」

イリスは内に秘めた魔力を解き放った。
それにより黒い光に包まれたイリスは全身に黒衣を纏い、
大きな黒い翼を展開させる。

以前の長く白い髪は見る影もなくなり、黒い長髪が少女の周りを覆う魔力の
渦に合わせて揺れていた。

「愚かなる人間達・・・消えなさい!!」

「ウダウダ言ってる暇はないぜ!」

アルファドはイリスが行動に移る前に素早く懐に飛び込んだ。
そしてすぐ様右手の刀を振るう。

しかしイリスの姿は残像を残し、掻き消える。

「何!?」

「こっちよ」

はるか上空に突如現れたイリスはアルファドに向かって右手を突き出した。
その瞬間、アルファドは何かに押しつぶされたかのように周りの地面ごと陥没する。

「ぐっ!」

さみゅは手元の銃に炎の属性を付与し、上空のイリスに向かって放つ。
フリアータも手元の弓に手をかけ、一呼吸の間に無数の矢を宙に向かって打ち放つ。
こなたも無数の石弓の弾を撃ちだした。

「無駄よ」

イリスは周囲に黒い重力場を展開させた。
イリスに向かって放たれた攻撃はそれによって全てかき消される。

「くっ・・・」

こなたはすぐさま第2射を放とうと石弓に弾を込める。
再度上空を見上げると既にイリスの姿はなかった。

「遅い」

こなたの背後からイリスの手刀が放たれ、こなたの背中を裂いた。
こなたはたまらずそのまま前のめりに倒れ込む。

フリアータはすぐ傍に突如現れたイリスに向かって弓を構えたが、それより早く
イリスはフリアータの懐に現れる。

イリスはフリアータに重力弾を至近距離から叩きつける。
フリアータはこらえきれず、大きく飛ばされ、壁に激突し倒れた。

「所詮この程度なのかしら?」

イリスはその場で再度翼を大きく広げた。

「みんな!」

ヘレンはすぐさま回復魔法の詠唱を始める。
しかしイリスは今度はヘレンの目前に現れ、膝を跳ね上げヘレンの横腹に突き刺す。

身体をくの字に折ったヘレンに今度は肘をたたきつけた。
その衝撃でヘレンはその場に倒れた。

あいかは再度楽器を構えようとしたが、楽器は突如あいかの手元で破裂した。

「きゃっ!」

「まだわからないようね。何をしようと無駄なのよ」

イリスはあいかに向かって右手を突き出している。
その右手から放たれた重力弾によって楽器が破壊されたのだ。

「・・・でも一人ずつ相手にするのも面倒ね」

イリスはそう言い、徐々に上空に舞い上がっていく。
イリスの身体に黒い魔力が蓄積されはじめる。

「強大なエネルギーがイリスに集まっていく・・・いけない!!」

「まとめて砕け散りなさい!!」

イリスは蓄積された魔力を一気に周囲に向かって解き放った。

ドゥン!!

辺りに凄まじい轟音が響き渡る。
イリスの放った一撃によりその場には大きなクレーターが穿たれていた。

「あはは、ちょっとやりすぎたかしら?」

イリスはゆっくりと地面に舞い降りる。
砂煙が舞い上がり、やがて煙が収まった地面には複数の人間が倒れ伏していた。

「ゴミのような人間がいくら集まったところで、私にはかなうはずがない。
まとめて消し去ってあげるわ!」

イリスは再度魔力を集中させる。

ヒュン!

その時、突如イリスの目前の空気が切り裂かれる。
イリスが向き直るその先には蒼髪の剣士が抜刀した状態のまま立っていた。

「全員倒れていたと思ったけど・・・。中々しぶといのがいるわね」

「少し離れたとこにいたもんでね。・・・運がよかっただけさ」

「小癪な、しかしそんなボロボロの身体で何ができるというの?」

「さて、ね。しかしこのまま黙って寝てるわけにもいかないだろう?」

ハルは表情を苦痛にゆがめながらも小さく笑みを浮かべる。
そしてイリスに向かって言葉を放つ。

「メイちゃん!俺が以前言った言葉を覚えているか?
魔王を倒せるのは君だけだ!邪悪な意思に負けてはいけない!!」

しかしハルの言葉はメイリーナには届かない。

「無駄よ。この子の意思は私が完全に眠らせている。
あなたの言葉は届かないわ。」

「・・・ダメか」

イリスは背中の鞘から赤龍剣を抜き放った。

「あなたは特別にこの剣で殺してあげるわ。しかも仲間の手にかかって
殺されるの。嬉しいでしょう?」

「くっ・・・」

ハルは再度剣を構えなおそうとする。

「死になさい!!」

しかしイリスは一瞬にしてハルとの距離をつめ、手元の剣を振るう。
振りぬかれた赤龍剣はハルの腹部を深々と切り裂いた。

「がはっ・・・!」

ハルは裂かれた腹部から血を流し、その場に倒れこんだ。
イリスはすかさず赤龍剣を天に向かって掲げ上げる。

「その首、叩き落としてあげるわ!!」

イリスが剣を振り下ろそうとしたその瞬間・・・

ボゥッ!!

イリスの手元から突如炎巻き上がる。

「何!?」

イリスは驚き、赤龍剣をその場に落とす。

「・・・その剣は魔の力に反応して炎を放つのさ。」

ハルは顔をあげた。右手は切り裂かれた腹部を押さえており、その手からは
淡い光が漏れていた。

「お前も回復魔法を使えるのね。こざかしい」

「悪いな。しぶとさだけがとりえなんでね」

「無駄なあがきよ、すぐにトドメを刺してあげるわ」

イリスは空になった右手を振り上げる。

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(ここは・・・?)

メイリーナは目を覚まし、辺りを見回した。
しかし辺りは暗闇につつまれている。

(私はイリスに意識を・・・)

ふとメイリーナの前に光の球が現れた。

(これは・・・)

その光を覗き込んだメイリーナは驚愕する。
振り上げられた自身の右手が今まさにハルに向かって振り下ろされようとしていた。

(そうはさせない!!)


--------------------------------------------------------------------------------------------------------


「何・・・!?」

イリスは驚きの表情を浮かべる。
振り下ろそうとした右手が彼女の意思に反して、動きを止める。

そしてイリスの口が開く。

「イリス、あなたの好きにはさせない!」

「先ほどの衝撃で目覚めたのね!大人しくしていなさい・・・!」

イリスは再度右手に力を込める。

(くっ、負けるものですか・・・!)

メイリーナは必死に食い下がる。

「メイちゃんか・・・。俺の命などとるにたりないが、ここでイリスの自由を許せば、
俺達だけじゃない。多くの罪もない人々がその命を落とすことになる。
それを止められるのは君しかいない!!」

メイリーナの右手が地面に向かって徐々に伸びる。
そしてその手は地面に落ちていた赤龍剣を拾い上げた。

「くっ!私の意志に反して剣を・・・。どうするつもり・・・!?」

「イリス、あなたは私に言ったわ。自分の存在意義は人間を滅ぼすことだって・・・」

「それがなんだと・・・」

「私もずうっと考えていたの。私は一体何のために生まれてきたのかって・・・」

「今わかったわ。私やあなただけじゃない、生まれてきた理由なんて
そもそも存在しない。

結局自分自身がどのように生きていくかってだけなのよ!
その意味は自分の歩む道の中から見つけ出すもの!!」

メイリーナは拾い上げた剣を逆手に構えた。

「メイリーナ、一体何を・・・!?」

「ハルさん、今までありがとう。そして、お世話になりました・・・」

「メイちゃん・・・?」

「そして皆さん、どうかお元気で・・・」

「まさか・・・!やめなさい!!」

「メイちゃん、やめろ!!」

メイリーナは右手を勢いよく振り下ろした。
自分自身に向かって・・・。

ザシュ!!

振り下ろされた赤龍剣はメイリーナの腹部を深々と刺し貫いた。
そしてその直後、赤龍剣はその刀身から炎を吹き出す。

すぐさまメイリーナの体は炎に包まれた。

「あはは・・・結局ハルさんが最初に注意してくれた通りになっちゃった。」

「メイちゃん!クソ!!」

ハルは上着を脱ぎ、メイリーナに向かって叩きつける。
しかし炎はその勢いを止めない。

「あいか、氷の魔法を!早く!!」

しかしその場で意識を保っているのはハルだけだけであり、
ハルの悲鳴にも似た声はむなしくその場に響く。

「いいの。私はこのままイリスと共に逝きます。そうすれば一体化した魔王も消滅します。
この世界もやがて平和になるでしょう。」

「ばかやろう!誰かの犠牲の上に成り立った平和に何の意味が
あるっていうんだ!!」

「ハルさんは言ってましたよね。自分の目の前で罪もない人々が死んでいくのは
我慢ができないって」

ハルはその問いに答えることができず、膝を折り、涙を流し続ける。

「・・・私も同じです。それが私の見つけたたった一つの『答え』だったんですよ。」

メイリーナはそう言い残し、最後に天使のような笑みを浮かべて果てた。

メイリーナを包み込んだ炎はさらに勢いを増し、やがてメイリーナの体を焼き尽くす。
そしてその炎が消え去ると共にその姿を消した。

ただ一つ、赤く光を放つ刀身だけを残して・・・

「うわあああああ!!」

ハルは天を仰ぎながら叫び続けた。
その叫び声は辺りの空間に悲しく響き渡った・・・




↓エピローグ
http://harubsb.blog.shinobi.jp/Entry/116/



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いやぁ、ハイペースで進めてまいりましたが、なんとか書ききることができました。
結果、主人公がラスボスとなる凄まじい展開に;;

さて、あとはエピローグを残すのみとなりました。
実は今日はちょっとだけ書いて寝るつもりだったのですが、
結局書き上げてしまいましたとさorz

それでは次回はエピローグにてまたお会いしましょう(´・ω・`)ノ

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