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外伝予告をしておりましたが、本編の続きをのせることにしました。
ちなみに今回で最終話です。
内容はオリジナルのみで、ネタばれはありません。
ラテール
ジエンディア サイドストーリー
~メイリーナ~
『最終話、月の光』
[エリアス街中]
(ハルさんが罪人・・・?)
その日の夜、メイリーナは寝付くことができず、街中を歩いていた。
頭上には雲の合間から三日月が覗いている。
メイリーナは立ち止まり、鞘から赤龍剣を抜き放ち、刀身を眺める。
(ハルさんに助けられなければ今の私は・・・この剣にも随分助けられてきたし・・・)
刀身は赤い光を放ち続けている。
メイリーナは剣を鞘に納め、再度歩みだす。
その眼前を黒い影が横切る。
「・・・誰?」
暗闇に向かって呼びかけるが返事はない。
(気のせい・・?でも確かこっちのほうに・・・)
[エリアス格闘場]
格闘上の中は大きくひらけており、時間も遅かったため、静まり返っていた。
場内に足を踏み入れたメイリーナは辺りを見回すが人影はない。
(やっぱり気のせいか・・・)
諦めて、戻ろうとしたとき、背後に人の立つ気配がする。
「月の綺麗な夜だな・・・」
メイリーナは声に驚き、振り返る。
そこには剣と盾を肩に携え、天を仰ぐ青年がいた。
頭に巻いたターバンの合間から蒼い髪が覗いており、風に吹かれて揺れている。
「ハルさん・・・」
「久しぶりだ。ずいぶんとたくましくなったみたいだな。」
「そう・・・ですか?」
メイリーナは自分の格好を見回す。
「見た目がってわけじゃない、あのときは死人のような目をしていたが、
今は強く光輝いている。」
「・・・あなたに聞きたいことがあるんです。」
メイリーナは意を決して青年に問う。
「なんだろう?最も、大体想像はつくけどね・・・」
「あなたは一体何をしたんですか?どうして王宮から追われているんです?」
「別に何もしてないさ。そういう君は誰かから俺の捜索を受けているのかい?」
メイリーナは自分で直接依頼を受けていたわけではなかったが、
あえてその首を縦に振る。
「そうか・・・。じゃあ逆に問おう。誰からその依頼を受けた?」
メイリーナは言葉につまる。依頼主の名は聞いていなかったからだ。
「それは・・・言えません。」
「そうか・・・、いずれにしても、俺はまだ捕まるわけにはいかない。
どうして俺が追われるいるかと聞いたね。」
ハルは鞘に手をかける。
「剣を抜くんだ。俺は君に訳を話す気はないし、その理由が知りたければ、
俺を倒して王宮に引き渡すしかない。」
「そんな、あなたを傷つけるなんて私には・・・」
その瞬間、メイリーナの眼前を銀光が煌く。
メイリーナの前髪が切られ、その場にハラリと落ちた。
「俺も随分となめられたもんだ。」
メイリーナは慌てて後退し、距離をとる。
そして柄に手をかけ、臨戦態勢をとった。
「本気でくるんだ。そうしないと・・・ケガではすまない。」
ハルは剣を再度鞘に収めて、メイリーナを見つめる。
その目は冷たく、メイリーナを射抜いていた。
「くっ・・・!」
メイリーナは鞘に手をかけたまま、ハルに向かって走る。
そのまま幾重にわたって剣を振るうが、ハルは最小限の動きでその全てをさばく。
一瞬の隙をつき、ハルはメイリーナに向かって体当たりをかけた。
そのまま肘でメイリーナ腹部を突きあげる。
「がは・・・」
ハルはその場で一回転し、後ろ回し蹴りを叩き込んだ。
メイリーナはその一撃で派手に飛ばされて、倒れこむ。
「どうした?君の力はそんなもんじゃないはずだ!・・・見せてみなよ」
「う・・・あああぁぁぁ!!」
メイリーナは絶叫した。その体は光に包まれ、黒衣と翼をまとって姿を現す。
「それが君に秘められし力か」
二人は離れた状態で向かい会う。
メイリーナは赤龍剣を抜き放ち正眼に構えた。
対するハルは鞘に手を当てたまま、軽く上体を傾ける。
「一撃で決めよう・・・。君の持てる全ての力を持って挑んでくるんだ。」
「ハルさん、どうして・・・」
二人は向かいあったまま、しばしの時が流れる。
メイリーナの額から汗が流れ落ち、その雫が地面に落ちた瞬間・・・
二人は同時に地面を蹴る。
「はああぁぁぁ!!」
互いの手元から放たれる、一筋の銀光。それは闇夜を切り裂き、
二人の運命をも分かつ。
頭上には空に浮かぶ月が、ただ静かに辺りを照らしていた。
↓外伝その2へはこちらから(2部へ行く前に読まれることをお勧めします。)
http://harubsb.blog.shinobi.jp/Entry/101/
↓第2部へはこちらから
http://harubsb.blog.shinobi.jp/Entry/102/
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本当は外伝を一本はさむつもりでしたが、ひとまず一度ここらで話を一区切り
させることにしました。
物語の途中でいくつか張っていた伏線はそのままとなっておりますが、
一応話しの区切りはついておりますので、まあ問題はないかな、と。
とりあえず第一部完結ってことにしておきます。
続きに関しては少し間をあけつつ、皆様のご要望があれば、また書かせて
いただきたいと思います(ぁ
最後までお付き合いいただきありがとうございましたm(_ _)m