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2007/6/17開始 2007/8/10改装&リネーム                                                                    ©2006 Actozsoft, All right reserved. ©2006 Gamepot Inc, All right reserved.
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ラテール創作小説 外伝その1 です。


今回は一挙2本立てです!(ぁ

サブキャラ「ティニア」のお話をご紹介します。

管理人の頭の中には主人公「メイリーナ」とそれに関わる人物として「ハル」と「ティニア」がいます。
今回はそのティニア視点でのお話となります。

「ハル」の物語もそのうちご紹介させていただく予定ですが、この妄想ストーリーの核を担うため、
後半でのご紹介になると思います。

ちなみに今回はネタバレはありません。ご安心してお読みください。



-----------------------------------------------------------------------------------------------------------


(本番前はいつものことだけど、やっぱり緊張するなぁ。)

ロックバンドのヴォーカル兼ギターを担当しているティニアは楽屋で、一人つぶやいた。

「どうしたティニア?緊張してるのか?」

銀髪、長身の青年が近寄ってきて、声をかける。

「そりゃ、緊張もするわよ、今日は特別な客も来るし、ね」

ティニアは苦笑する。

「妹さんのことか。ティニアもあの子の前では形無しだからな。妹の前だからってミスるんじゃねえぞ?」

「しないわよ。」

「私達は幼い頃に両親を亡くして、ずっと二人一緒に過ごしてきたの。」

「ふーん。苦労したんだな」

コンコン・・。
扉がノックされる。

「どうぞ。」

「えへへ、来ちゃった・・・」

ティニアの妹、マリーミアが扉から顔を出す。

「マリー!本番前なんだから、来ちゃだめでしょ。大人しく席で待ってなさい!」

マリーミアは軽く舌を出す。

「だって、お姉ちゃんのライブ見に来るの今日が初めてで、大人しく待っていられ
なかったんだもん。」

「まあいいじゃねえか。もう少し時間もあるようだし、もう一度最初から通してやってみよう。
本番前の予行練習と思って妹さんにも聞いてもらうんだな。」

そういって青年はベースを構える。

「しょうがないわね。そこで大人しくしてるのよ。」

「はーい」

チッチッチッ・・・
スティックでリズムを刻む。

「いくぜ!」

演奏が開始される。

ティニアは演奏に合わせて歌う中、部屋の隅に黒いしみのようなものを見つける。
(なんだろう、あれ?)

始めは気のせいかとも思ったが、その染みは徐々に大きくなっていく。
最終的に人が通れる穴にまで広がり、その穴はティニア達を吸い込み始めた。

「何よこれ!どうなってるの!?」

「お姉ちゃん!!」

穴の近くにいた、マリーミアが穴に向かって吸い込まれる。
ティニアは賢明に手を伸ばしたが届かず、妹の体は穴の中に吸い込まれて消えた。

「マリー!」

ティニアを悲痛な声をあげたが、意を決し、穴の中に飛び込む。
その後、黒い穴は徐々に小さくなり、消えた。

 

 

---------------------------------------------------------------------------------------------------------------

 


(ここは・・・)

ティニアはすぐさま辺りを見渡し懸命に妹の姿を探したが、一面砂で覆われているだけで、
周りには人一人いなかった。

(冗談きついわ。悪い夢なら早くさめて)

全身に感じる熱さがそれが現実であることを彼女に告げる。
ティニアは体を起こした。

(ここは一体どこ?私は確か楽屋にいたはずなのに・・)

周りを見渡すが、砂以外何も見えない。
しばらく立ち尽くしていたが、どうにもならないことを悟り、あてもなく歩き始める。

(暑い・・・。)

太陽がじりじりと肌を焦がす。喉がカラカラになり、歩くことすら億劫になってくる。

そのティニアの前の砂が徐々に盛り上がり、人の形を形づくる。
その手には曲刀を持っており、徐々に距離をつめ、やがてティニアに襲い掛かってきた。

(何よこいつ!?)

ティニアは慌てて振り向き、その場から逃げ出した。
何度か砂に足をとられ、転びそうになるが、ただ必死に足を動かした。

しばらくすると砂の人形は背後からいなくなっていたが、呼吸は荒くなり、
足が鉛のように重くなる。

(もうだめだわ、走れない・・。)

ティニアはその場に倒れ込む。

(私はこんなわけのわからないところで死ぬの・・?マリー・・)

気が遠くなっていき、ティニアは意識を失った。

「・・ねえ、あそこに人が倒れてるよ。」

「どうしたんだい?なちゃおさん。」

「本当だ。まだ息はあるみたいだけど、これはまずいね。ひとまず街までつれていこう。
フェッテ君、手伝ってくれ」

 

[エルパ]
[宿屋]

(ここは・・・)
ティニアはベッドの中で目を覚ます。

(夢だったのかしら・・・)

しかし自分が着ている服がパジャマでないことに気づく。
そして体を起こそうとすると頭がズキズキと痛む。

「まだ動かないほうがいいよ。あなたは砂漠の中に倒れていたの。もう少し休んでて 」

部屋の隅に座っていた少女はティニアにそう告げた。

「悪いとは思ったけど、服は着替えさせてもらったわ。砂まみれになってたからね。
それと一緒に落ちていた楽器はあなたの枕元においてあるわ。お水、飲める?」

そういってティニアにコップを渡す。
ティニアはそれを受け取り、喉を潤した。

「おいしい?ひとまず気はついたみたいね。ちょっとまってて、仲間を呼んでくるから。」

そういって少女は部屋を出ていった。

コンコン
「失礼しますね。」

ノックの後、先ほどの少女とそれに続いて、逆毛の青年が部屋に入ってきた。

「ここは・・・どこ・・・?」

弱々しい声でティニアは青年に問う。

「ここは砂漠の町エルパ。しかしあなたはなんだってあんなところに倒れていたんだい?
ここにいるなちゃおさんが見つけてなければ、間違いなく干物になっていたところだよ。」

「わけが・・・わからない。私は確か楽屋にいたはずなのに・・・」

「ガクヤ?なんだいそれは?」

先ほどの少女と逆毛の青年は見慣れない格好をしている。変わった趣味だなと
思いながらも、頭がうまく回らない。

「なんにしても、もう少し休んでおいたほうがいいよ。お水はここにおいておくからね。
なちゃおさん、後はよろしく頼む。」

そういって青年は部屋を出ていった。

 

数時間後、ティニアはようやく体を起こせるようになった。
どうやら日射病と水分の欠乏が原因で倒れてしまったようだ。

なちゃおという少女の話によるとここは知らない世界で、砂漠に倒れていたところを
発見されたらしい。
そして思い出す。楽屋に突如発生した黒い穴に妹と一緒に飲み込まれてしまったことを。

「マリー!」

辺りを懸命に見渡すが妹の姿はない。

「ねえ、なちゃおさん、私の近くに妹がいなかった!?」

悲痛な表情で問いかける。

「ごめんなさい。あそこに倒れているのはあなただけだったわ。」

「そう・・・」

ティニアは肩を落とす。
妹もこの世界につれてこられてしまったのか。それとも別の世界に飛ばされたのか、
はたまた元の世界で無事でいるかはわからなかったが、自分は一人になってしまったのだ。

不意に頬を涙が伝う。幼い頃に両親を失ってから寂しいのには慣れているはずだったが、
それでも彼女にとって残った妹の存在はあまりにも大きかった。

「ごめんなさい。一人にしてくれる・・・?」

なちゃおは何も言わず部屋を後にする。

その後、ティニアは声もあげず、泣き続けた。

 

ふと傍らを見ると置いてあるギターに気づき、手に取る。

(私に残ったのはこれだけか・・・)

いつもライブで演奏しているロックではなく、バラードを演奏してみた。

「いいメロディーね。」

なちゃおさんとは違う、色黒の女性が部屋に入ってきてそういった。

「私はアラサ。あなたの名前は?」

「私はティニア。どうしてこんなことに・・・」
ティニアは俯く。

「さあ、私にはわからないね。一つ言えることはあんたはこの先一人で生きていかないと
いけないってことだ。」

「私が生きて?もう私には何もないのに。ただ生きながらえることに何の意味が
あるっていうの?」

その言葉にアラサは眉を吊り上げる。
「甘えたことをいうんじゃないよ!この世界には生きたくても生きれない人が
たくさんいるんだ!」

ティニアはびくりと体をはずませる。

「・・声を荒げてごめん。ひとまず起きられるようになったのなら、外においで。
皆を紹介するよ。」


[港]

「きたね。もう体は大丈夫かい?」

先ほどの逆毛の青年が歩み寄る。
その言葉にティニアは小さく頷いた。

「皆の紹介は僕からしよう。僕の名はジョッシュ。SFSギルドのリーダーだ。
そしてそちらはアラサさん。君のお世話をさせてもらったのが、なちゃおさんさ。」

「そしてあちらはフェッテ君。君をここまで運んでくれたんだ。」

赤髪の青年が声かける。

「ひとまず元気になったみたいだね。よかった。」

「皆ギルドの仲間なんだよ。」

ティニアは俯いたまま黙り込む。気まずい沈黙があたりに流れた。

「ねえ、ティニア。さっきの演奏をしてみてくれないか?」

アラサはそういってティニアに演奏するよう促した。
ティニアは躊躇ったが、ギターを手にとり、演奏を始める。
そのメロディーに皆は聞きほれる。

「素晴らしいメロディーだね。この世界では音楽もれっきとした力を持つんだ。
君の演奏は人を癒す力をもっているようだ。」

「私の演奏が・・・?」

「さっきなちゃおさんに聞いたのだけれど、妹さんとはぐれてしまったとか。」

「無責任なことはいえないけれど、もし一緒に何かに巻き込まれたのであれば、
ひょっとしたら妹さんもこの世界のどこかに流れついているかもしれない。」

「力及ばずながら、僕達も捜索に協力するよ。だから望みを捨ててはいけない。」

「ありがとう・・・」

ティニアは皆に礼をいい、演奏を続けた。


---------------------------------------------------------------------------------------------------------

 

それから1年が経過した。

言葉の通り、みんなは懸命に捜索を続けてくれている。
しかし今もまだ妹は発見されていない。

ひょっとしたらもう死んでしまったのかもしれない。

けれど私は今もまだここにいる。
私の演奏は時には仲間を癒し、時には敵を倒す武器にもなることがわかった。

ギルド『SFS』の一員となった私は、旅を続けるうちいつしか元気を取り戻していった。

生きていればいつか妹に会えるかもしれない。いや、必ず探し出す。

そして一緒に帰るんだ。元の世界へ・・・。


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