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ラテール創作小説 新章

今回でちょっと現代を離れ、過去の話に入ります。
そこで主人公の過去についてちょっと触れてみたいと思います。

まあ毎度陳腐な話で申し訳はないのですが・・・
それでもお読みいただく場合はつづきをどうぞ。





ラテール
ジエンディアサイドストーリー
            ~BSB~

「第14話、過去、それは全てのはじまり」


[キメラ研究所]

研究所の奥、顔を伏せてその場に座りこむ男がいた。
男はその場所に近づいてくる気配に気づき、ピクリと身体を動かす。

(きたか・・・)

扉の開く音に反応して『ブラッドレイン』と呼ばれるその男はわずかに顔をあげた。
顔をあげた彼の目には息を弾ませてかけこんでくるBSBの姿が映る。

「望み通りきてやったぜ。マリーはどうした?」

「奥の部屋でお休みいただいている。これからの時間には邪魔になりそうだったのでな。」

ブラッドレインはゆらりとその場から立ち上がる。

「てめえになんざ興味はねえが、一つだけてめえに聞きたいことがある。
2年前の出来事とはなんだ?」

「・・・幸せなことだな『忘れる』ということは」

BSBは軽く舌打ちして問い返す。

「大体なんだって俺に付きまとう。俺がお前に恨まれることをしたって何故言い切れるんだ?
人違いってことも・・・」

「それはない。」

BSBの弁解をブラッドレインはきっぱりと振り払った。

「俺はお前のことはよく知っている。第一、お前自身ここに来るまでに何か感じることが
あったのではないか?
そしてそれらの事象がお前に告げているはずだ。俺の言葉が真実だと・・・」

(確かにこいつの言うとおりだ。俺は確かにここを知っている。そしてこいつのことも・・・)

「教えてくれ。俺は以前、一体何をしたんだ?」

BSBのその言葉を聞いて、ブラッドレインは強く歯軋りする。

「俺は貴様のその姿を見ているだけでも吐き気がする。本来はすぐさまこの場で
八つ裂きにしてやりたいところだが、それでは俺の気は治まらん。」

そしてブラッドレインは奥の扉を指差した。

「いけ。そして奥の部屋にいる『彼女』に会うがいい。それで何も思い出せぬようなら、
お前は所詮その程度の男だということだ。その時には心置きなく俺の手で殺してやる・・・」

(奥の部屋にいる『彼女』だと?マリーのことか?)

BSBは油断なく構えながら、奥の扉に向かって歩を進める。
そしてBSBはその扉を開け放った。

(こ、これは・・・!?)

扉を開けたその先にはマリーミアの姿はなかった。しかしBSBの眼前には大きな装置が
設置されており、ガラスのケースを通して中をうかがうことできる。

(白い髪の・・・少女・・・?)

そこには目を閉じ、死んだように佇んでいる一人の少女がいた。
その姿を見たBSBの胸が大きく一度『ドクン』と脈打つ。

(わからない・・・わからないが何だこれは・・・。)

BSBはこんな少女のことなど知りもしない。
しかし全身はそれを強く否定し、汗が噴出し、心臓は激しく脈うち、体温が上昇していく。

「・・・ティーエ」

その時不意にBSBの背後、ブラッドレインの口から少女の名が告げられる。
『ドクン』・・・その名を聞いたBSBの胸がさらに大きく脈打つ。

「その少女、俺の妹の名前だ。・・・お前が知らぬはずはあるまい。」

(ティー・・・エ・・・?)

BSBはその場でがくりと膝を折る。
そしてブラッドレインにまるで懇願するように悲痛な声を上げた。

「頼む、教えてくれ!確かに俺はこの少女を知っている!でも、どうしても思い出せないんだ!!」

ブラッドレインはBSBのその様子をみて小さく舌打ちをした後、
懐から黒光りする拳銃を取り出した。

「・・・ティーエ、こいつのお前に対する想いなど所詮この程度だったんだ。」

ブラッドレインは一瞬天を仰いだ後、銃身をBSBに向ける。

「もういい、あの世でティーエに詫びるんだな。」

(くっ・・・!)

ブラッドレインの確かな殺意を感じ取り、BSBは震える全身を奮い立たせ、拳銃を取り出した。
そして二人は左右に向かって走る。

ドン!

二人は走りながら同時に銃弾を互いの対峙する相手に向かって放った。

「ぐ・・・は・・・」

二人の放った銃弾の結果、BSBはその場に膝をついて崩れ落ちた。
その胸はブラッドレインの放った銃弾に貫かれ、傷口から血液が流れ出る。

「・・・終わりだ。」

そしてゆっくりとBSBの意識は遠のいていった。


---------------------------------------------------------------------------------------------------------------

 

ドン!

少年の放った銃弾はターゲットの男の額を寸分違わず打ち抜いた。
撃たれた男はその場に崩れ落ちる。

「・・・ターゲットの絶命を確認した。これより帰還する。」

<暗殺者ギルド>

ジエンディア大陸の影に生きる殺しのプロ達の巣窟。
ここでは感情など一切不要。必要なのはターゲットを確実にしとめるための冷酷さのみ。

暗殺者ギルドで生まれ育った彼も常にそう教えられ、そのための技術を幼い頃から
叩き込まれてきた。

そしてギルドに帰還した少年の下に新たな指令が告げられる。

「ご苦労だったなシオン。では次のターゲットだが・・・」

少年の前に差し出された一枚の写真には一人の長い白髪をなびかせる少女の姿が
写っていた。

「これは・・・?」

少年はわずかに困惑した表情を見せる。今までのターゲットはどこかの役人の
大物であったり、要人ばかりだった。

このような少女が標的となるのは彼にとって初めてのことだったのだ。

「この娘はその外見からはわからぬが、不思議な力をもっておる。放置しておくと
後々我々の障害となる可能性があるのでな・・・。その前に排除したい。」

少年はその目に暗い光を宿しており、無表情のまま首を縦に振る。

「了解した。この少女を直ちに排除する。」

そして写真を受け取り、その場から姿を消した。


----------------------------------------------------------------------------------------------------------------


[龍京]

(ここだな・・・)

暗殺者ギルドの刺客、シオンは龍京の屋敷に忍び込んでいた。
その少年の肩に血液が滴り落ち、ズキズキと痛みが走る。

(さすがに厳重な警備だったが・・・しかしこの程度の手傷であれば任務に影響はない。)

シオンは暗闇の中、目を凝らす。
その目は布団の中で寝息を立てる、少女の姿を捉えた。

(ターゲット確認、これより排除する・・・)

シオンは懐から短刀を取り出し、気配を消しつつ、少女に接近を試みた。

ガバ!

そのとき、少女は突然体を起こし、寝起き直後の焦点の定まらぬ眼差しでシオンを見た。

(ばかな。気配は完全に殺していたはずだ・・・!)

驚くシオンに向き直った少女はシオンの手をその小さな手でふわりと包みこむ。
そしてシオンの顔を覗き込んだ。

「あら・・・あなたは・・・」

「くっ!」

シオンは少女の手を払いのけ、素早く後ずさり距離を取った。
そして再度短刀を構えようとしたが・・・。

ズキン!

肩に鋭い痛みが走り、短刀を足元に落としてしまう。

(しまった・・・!)

シオンは慌てて短刀を拾おうとしたが・・・

「待ちなさい!動いてはいけません!!」

その場に少女の凛とした声が響く。
シオンはびくりと反応し、その動きを止める。

そして徐々に少女が歩みよってくる。

(くそ、ここまでか・・・)

「あなた怪我をしているではないですか!そんな状態で動いてはいけませんよ。」

少女は薬箱から包帯を取り出し、シオンの肩の手当てを始めた。

(・・・こいつ、何をやっている?)

シオンはわけがわからず、その場で硬直する。

「うん!これで大丈夫。」

少女はシオンの肩を包帯でくるくると巻きつけると、ポンと叩いた。
しかしシオンはまだ状況が理解できない。

「お前・・・俺が何者だかわかってないのか?」

「はい?」

少女はシオンの言葉を聞くと首を捻り、うーんとうなり声をあげはじめる。

「そういえば、どなたでしょう?」

(なんなんだこいつは・・・)

ドタドタ!

シオンの耳がこの場に近づいてくる足音を捕らえる。

(まずい・・・!)

シオンは慌てて身を隠そうとしたが、先ほどの少女がその手を取り、にこりと笑いかけた。

バタン!

そしてすぐさま龍京の役人達が踏み込んでくる。

『ティーエさま、お怪我はありませんか!!』

「あら?どうかなされたのですか?」

役人達は部屋に入るなり慌てた様子で辺りを見渡した。

しかしその場にはティーエと呼ばれた少女が布団から顔を出し、ぽかんとした表情を
覗かせているだけである。

『この屋敷に賊が侵入したのです。奴はきっとティーエ様の命を!!』

「ここには私一人しかいませんわ。それに夜中にいきなり女性の寝室を訪ねるなんて、
ぶしつけではありませんこと?」

『う・・・、しかし緊急事態でして・・・』

ティーエの言葉に役人はうろたえる。

「心配してくれるのはありがたいのですが、私は大丈夫です。
警備に戻ってくださいな。」

ティーエはそういって役人達ににこりと笑いかける。
役人達もティーエにそういわれてしまっては返す言葉がなかった。

『・・・わかりました。くれぐれもお気をつけください。何かあればすぐに我々を呼んで
くださるようお願いします。』

「わかりました。お勤めご苦労様です。」

役人達ティーエに一礼し、その場を立ち去った。

「もう出てきて大丈夫ですよ。」

ティーエが手元の布団をめくりあげるとシオンがその姿を現す。

「・・・何故だ。何故俺をかくまうんだ。」

「んー・・・」

シオンの問いに対してティーエは首を捻った後、顔を近づけ、シオンの目を透き通る
目で見つめた。

「うん、やっぱりあなたは悪い人ではありませんわ。これでも私のカンはよくあたるんです。」

その言葉にシオンは困惑する

(こいつは一体なんなんだ?今まで俺がターゲットとして来た奴は、ほとんどが
俺の姿すら確認できずに死んでいった。
運よく逃れた奴も俺を見るなり恐怖し、逃げ惑うだけだった。それをこいつは・・・)

「私はティーエと申します。あなたのお名前は?」

------------------------------------------------------------------------------------------------------------


「シオンさんと仰るのね。改めてよろしくお願いします。」

「・・・お前は俺が怖くないのか?」

「怖い?どうしてですか?」

「俺はお前の命を狙ってきたんだぞ。その暗殺者を匿うなんて正気の沙汰じゃない。」

「でも、私は生きていますわ。」

「ふざけるな!そんなことはたまたま・・・」

声を張り上げようとするシオンの口元をティーエの手が塞ぐ。

「あらあら、大声出すと見つかってしまいますよ?」

(俺は一体何をやっているんだ・・・)

暗殺ギルドの教えは唯一つ、ターゲットを始末を第一とせよ、だった。
シオンはその教えに従い、心を殺し、ターゲットを始末しつづけてきた。

しかし今自分は自分の標的に自分の素性を打ち明けるという考えられない所業を行っている。

(何故俺はこんなことをこいつに話している?)

シオンは軽く息をつき、現在の状況把握に努める。

(いずれにせよ、このまま捕まってしまったら素性を調べられて殺されるだけ、ならばいっそ・・・)

シオンは落としてしまった短刀を探したが、見つからない。
その様子をみてとったティーエが声かけてくる。

「探しものはこれですか?」

見ると短刀を右手に持っている。

「くそ、殺せ!どうせこのまま捕まったら同じことだ!」

「あら?どうして?」

「お前もなんだかんだと言いながら、明日になれば俺の身柄を役人に引き渡すんだろう。
そしてこの後は拷問を受けて殺されるんだ。」

「私はそんなことは致しませんわ。」

「嘘だ!俺が生まれ育った場所では自分以外は全て敵と教えられてきた。
そして敵は排除するのみ、と!」

「そんなことはありません。人は一人では生きられないものです。」
それにあなたは優しい人です。私にはわかります。」

(俺が・・・優しい、だと?)

シオンは自嘲めいた表情を浮かべる。

「どちらにしても組織の依頼を果たせなかった俺を待つのは組織の制裁のみ。つまり『死』だ」

「それは困りましたわね・・・」

ティーエは考えこんだ後、ぽんっと手を叩いた。

「そうだ、シオンさん。この屋敷で私と一緒に暮らしませんか?」

「・・・なんだって?」

シオンはティーエの言葉の意味が理解できない。

「あなたはあなたの家に戻ると殺されてしまうのでしょう?それならここに
いていただければ安心ですし。私もお友達ができればきっと楽しいと思うの」

「楽しいだと・・・ははは!!」

なんだこれは、こいつの話を聞いていると身体から自然とこみ上げてくるものがある。
これは一体なんだ?

シオンは自分の口から漏れる『笑う』という行動が理解できず、戸惑いを見せる。

「俺の身体からこみ上げてくるこれはなんなんだ」

「それはあなたがおかしいと感じたからそれを表現するための『笑う』という行為です。
私としては真剣な提案を笑われるのは心外なのですが・・・」

ティーエは口を尖らせたかと思ったら、同じように笑い始めた。
しかしそれはシオンのものとはあきらかに違い、人の心を落ち着かせる何かがある。

「俺に感情が・・・?俺はずっと組織から人形扱いされてきた。お前は感情など持たない
ただの人形だと。」

「それこそ失礼な話ですわ。あなたは人形などではありません。一人の人間なのですよ。」

「俺が・・・一人の人間?」

「はい」

そしてティーエはシオンに向かって細く小さな手を差し出してきた。

「それでは改めてよろしくお願い致しますね。シオンさん」

 

----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------


夜が明けるとティーエはシオンのことを自分の友人だと、役人達に説明した。
シオンは覚悟を決めていたが、昨晩シオンの顔を確認していたものがいなかったことが幸いした。

そして訝しげな表情をする役人達をティーエが黙らせた結果、シオンはティーエの友人として
屋敷に居座れることとなった。

(こんな簡単なことでいいのか・・・)

まだ戸惑いの表情を見せるシオンに向かってティーエが顔を近づける。

「もう、そんな怖い顔をしていてはいけませんよ。あなたは私のお友達なのですから。」

「あ、ああ・・・」

「それじゃこちらに来て、屋敷の中をご案内しますね。」

「これはなんだ?」

シオンは足元から生える何かをまじまじと見つめた。

「綺麗でしょう?ここにはあちこちにお花が活けてあるのですよ。」

「花?」

シオンはそれが何かわからず、戸惑いの表情を浮かべる。

「もしや、お花をご存知ないのですか?」

「ああ」

その様子を見たティーエはきょとんとした後、無邪気に笑いはじめる。

(なんなんだ・・・)

シオンはバツが悪そうに頭を掻く。

「うん、シオンさんはまず色々とお勉強しないといけませんね。
大丈夫ですよ。私が教えてあげますから!」

ティーエはそういうと胸を張りながら右手で胸を叩いた。

「でも私と一つだけ約束してほしいのです。」

「なんだ?」

「この地面に咲くお花にも命はあるのです。そして命とはとても尊いものです。
私の傍にいるあなたにもその命を簡単に奪うような行為は行ってほしくないのです。」

「命・・・か」

「約束していただけませんか?」

シオンは考え込んだ後、ティーエに向き直り、言葉を発する。

「・・・わかった、約束しよう。」

---------------------------------------------------------------------------------------------------------------


その後も暗殺者ギルドからたびたびティーエの元に刺客は送られてきたが、
ギルドきっての凄腕であったシオンが影ながら護衛しているとあって、襲撃は
毎回失敗に終わっていた。

そして徐々にシオンもティーエに打ち解け始め、1年の月日が経過していった。

「お兄様、ご紹介します。私のお友達のシオン君です。」

「初めまして。しかしティーエが自分の友達を紹介してくれるなんて珍しいね。
どういう風の吹き回しだい?」

「フレッド兄様、それは心外ですわ。」

「ははは、まあよろしく頼むよ。」

ティーエの兄アルフレッドはそう言いながら、シオンに向けて右手を差し出す。
しかしシオンはそれに答えない。

「もう、シオン。そういうときは握手してあげないとだめですよ。」

「あ、ああ・・・」

ティーエに促され、シオンはおずおずと右手を差し出した。
その様子をみたティーエはにっこりと微笑む。

「それじゃ私は少し席を外しますから。お兄様、シオン、仲良くしててね。」

そういってティーエは屋敷の奥へ姿を消す。

「シオン君、とかいったね。」

アルフレッドがシオンに声かける。

「はい」

「ティーエがあんなに感情を表に出すなんて正直俺は驚いているよ。
とても引っ込み思案な子だからね。」

(ティーエが引っ込み事案?)

シオンにはアルフレッドのその言葉が理解できない。

「これからも是非ともあの子と仲良くしてあげてほしい。」

アルフレッドはそういってシオンに向かって頭を下げた。

「いえ、そんなことは・・・」

「あの子には生まれつき不思議な力があるんだ。」

「不思議な力・・・ですか。」

「ああ、君はデル族のことを知っているかな?生まれつき特別な力を有している種族で
ティーエはその生き残りの一人なんだよ。」

「デル族・・・?」

「ああ、おかげであの子はまともに外を出歩くこともできず、ずっと一人だった。
そして人と接せない生活が続くうち、徐々に感情を出せなくなっていったんだ。」

(俺が最初受けた印象と随分違うな・・・)

「っと、初対面の相手にする話じゃないな。けどあの子が選んだ人間なら、俺も安心
できるってものさ。」

(不思議な力・・・か。そういえば以前、長も言っていたな・・・)

シオンは当初暗殺者ギルドの長から聞いた話を思い出す。

「そうするとあなたもデル族なんですか?」

「いや、俺は兄とは呼ばれているものの、デル族でもティーエの本当の兄でもない。
小さい頃からあの子と一緒に居た名残で、そう呼ばれているだけさ。」

「なるほど・・・」

「キャー!!」

部屋の奥から女性の悲鳴が響く。
それと同時にアルフレッドとシオンは駆け出した。

部屋の奥にいくと黒づくめの衣装を纏った暗殺者がティーエを羽交い絞めにした状態で、
短刀をかまえている。

そして短刀を持った右手を振り上げ、ティーエに向かって振り下ろそうとした。

「ティーエ!!」

アルフレッドは咄嗟に暗殺者に向かって駆け出す。しかしとても間に合いそうにない。

ドン!

咄嗟に懐から銃を取り出したシオンは暗殺者に向かって銃弾を放つ。
その一撃は見事に暗殺者の短刀の刃の部分に命中し、短刀を暗殺者の手から弾き飛ばした。

アルフレッドはその隙を逃さず、暗殺者に向かって身体をぶつけ、ティーエと暗殺者を引き離す。

「シオン君、いまだ!」

シオンはアルフレッドの合図に反応し、再度銃を構えなおして暗殺者にむける。

(命を奪うような行為はしないと約束していただけますか?)

シオンが銃の引き金を引こうとした瞬間、以前ティーエに言われた一言がシオンの脳裏を掠める。

ドンドン!

シオンの放った二発の銃弾は暗殺者の肩と胸をつらぬいた。
暗殺者はたまらずその場に片膝をつく。

『ぬぅ、おのれ・・・』

シオンに向けて顔をあげた暗殺者の目は驚愕に見開かれる。

『お前はまさか・・・、生きていたのか!?』

(まずい、俺の所在をギルドに知られるわけには・・・)

シオンは再度暗殺者の額に向け銃を構える。

「シオン、だめよ!」

咄嗟にティーエが声を張り上げる。
シオンはびくりと身体を震わせながら、動きを止める。

『くくく、これはお笑いぐさだ。お前がこの小娘を守るとはな!』

暗殺者は懐から何かの欠片を取り出し、握りつぶした。
その直後、暗殺者の姿がその場から掻き消える。

(しまった!)

ティーエがシオンに向かって歩みよってくる。
しかしシオンは顔を真っ青にしている。

「どうしたの?シオン、大丈夫?」

「俺からも礼を言うよ。君のサポートがなかったら、正直間に合っていたかどうか・・・
シオン君?」

(俺の所在がギルドにばれた・・・。これで暗殺者ギルドは本気で俺達を狙ってくる・・・)

-------------------------------------------------------------------------------------------------------------

[暗殺者ギルド]

「なんだと、シオンが生きていた、と?」

「はい、間違いありません。しかも今まであの少女の身を守っていたのも奴かと・・・」

「むぅ・・・」

報告を受けた初老の男は考え込む。

「あやつがターゲットに懐柔されるとは考えられぬが・・・
しかしそれなら暗殺にことごとく失敗したのも合点がいくというものよ。」

「長、どうします?」

「しれたこと、裏切り者には死、あるのみ。全員に通達せよ!!
これよりギルドはティーエと裏切り者シオンの抹殺に総力をあげよ、と!!」

「御意!!」

長の命令に応じて暗殺者は姿を消した。

「シオン、馬鹿な奴よ・・・」

-----------------------------------------------------------------------------------------------------------------

[龍京]

「アルフレッドさん、お願いがあります。」

「どうしたんだい、シオン君、改まって。」

シオンはティーエがいないときを見計らって、アルフレッドに話かける。

「ティーエが狙われているのはご存知かと思いますが、恐らく今後は今までの非ではない
くらいの危険が押し寄せると思うんです。」

「・・・?何故そんなことが君にわかるんだい?」

アルフレッドの問いにシオンは唇を強くかみしめる。

「・・・理由はいえません。しかし俺はそれをなんとか食い止めるために行動を起こします。
その間、ティーエを守っていてほしいんです。」

「シオン君・・・」

アルフレッドはさらに問い詰めようとしたが、シオンの目を見てやめた。
そのくらいシオンは切羽詰った目をしていたのだ。

「わかった。しかし君もあまり無茶は考えないようにするんだ。いいね?」

「はい、ティーエをよろしくお願いします・・・」

シオンはそういい残し、その場から駆け出していった。

それと同時にシオンの胸にはいいようのない感情が押し寄せてくる。
その正体が何であるかはシオンにはわからなかったが、今は行動せずにはいられなかった。

(本気でギルドが攻めてきたら俺一人では太刀打ちできない。助かる方法があるとすれば・・・
奴らが攻めてくる前に、俺がギルドに潜入し、長を始末する・・・!)

シオンはしばらく走った後、ふと足をとめて背後を振り返った。

「ティーエ・・・俺はお前を死なせたくない。正直、こんな気持ちになったのは初めてだ。
お前を助けるためなら俺は・・・!」

そしてシオンは振り向き、その場から再度駆け出した。

 

 

 


 



<あとがきがわりに>


はいー、世間はお盆休み、夏休みと続く中、俺はやっぱり続き書いてます。
実は明日試験あるんですけどきにしない!(ぁ

まあー、このお話は最初から練りに練りまくっているにも関わらず、表現力と文才の
なさのせいでこのありさまです。

まあ書きながら考えてるせいもあるんですけどね・・・。

とりあえず、そうだなぁ。この物語も@3話くらいで終われるかなーとか思ってます。
まあもう少しお付き合いいただければ幸いです。

それじゃ今回はこの辺で失礼ww
 

 
 

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