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以前コメントでいただいた内容をこれまたこっそりとアップです。

今回のネタはとあるギルマスさまの憂鬱な日を描いたものです。
ご覧いただく場合はつづきをどうぞ。
 ラテール
ジエンディアサイドストーリー 番外編
              ~レイフィム~
 
「その5.ギルマスの憂鬱」 




「まずい、これは非常にまずいわ・・・」
 
一人の女性は立ったまま右手の親指の爪を軽く噛む。
そしてその背にはクリーム色の長髪が揺れている。
 
「とにかく至急なんとかしないと・・・」
 
そしてその女性、ヴァルアースはある決心を固めていた。
 
-------------------------------------------------------------------------
 
[エリアス 噴水前]
 
エリアス噴水前には突然ヴァルアースに呼び出されたレイフィム、風生、
ラーミアの3名が集められていた。
 
あまりに突然の呼び出しに、特にレイフィムは不満な表情を見せたが、
逆にヴァルアースの鬼気迫る表情に押されて、黙ってついてくるしかなかったという。
 
「さて、皆を集めたのは他でもないの・・・」
 
その場に緊張が走る。
 
「理由はただ一つ。ギルド始まって以来の財政難よ、至急なんとかしないといけないわ」
 
「財政難?どういうことかしら?」
 
ヴァルアースの言葉に対して、レイフィムは説明を求める。
 
「先日、とある事件がきっかけで、クロカゲが入院したのは知ってるわね?」
 
3名は一瞬疑問符を浮かべたが、レイフィム、ラーミアの両名はすぐに
何かに思い当たったようで、『ああー』といった感じの表情を浮かべた。
 
逆に風生には心当たりが思いつかないようだ。
 
「あのとき集めたアイテムにかかった費用も大きかったのだけれど・・・」
 
そういいながらヴァルアースは拳を強く握る。
 
「トドメになったのはクロカゲの入院、よ。」
 
「まあ、なんだかんだと彼は、ギルドのために身を粉にして働いてたからねぇ。」
 
と、ラーミア。
 
「現在の状況としては、ギルド運営費が底をついたため、まず最初に、
ギルドルームの使用を止められ、入れなくなってしまったわ。」
 
「別にギルドルームくらい使えなくってもいいじゃない。」
 
レイフィムは口を尖らせたながらそう言う。
その一瞬、ヴァルアースの目に怒りの炎が灯った気がしたが、気のせいだろうか。
 
「今はまだいいわ。けれどこのままの状況が続くようだと、最悪このギルド自体
運営ができなくなって解散しなければならなくなる可能性もあるの。」
 
「さすがにちょっとそれは深刻だね。」
 
そこまで軽く聞いていたラーミアだったが、この言葉にはさすがに真剣になったようだ。
 
「・・・とにかく、各員に言い渡すわ。明日までに各々で、対応策を考えてきてちょうだい。」
 
はーい、と元気よく返事してその場から駆けていく風生。
 
そしてめんどくさそうにしながらも、ヴァルアースに一喝されてその場から
逃げ出すように離れるレイフィム。
 
一方ラーミアは右手を顎に当てて、真剣な表情で考え込んでいた。
 
-------------------------------------------------------------------------
 
そして翌日。
 
ヴァルアース、レイフィム、ラーミアの三名が再度エリアス噴水前に集まっていた。
しかしそこに風生の姿はない。
 
これにはレイフィムは不満を漏らす。
 
「あいつ、逃げたわね!だから風生なんて役に立たないのよ!!」
 
ヴァルアースは軽くため息をついた。
 
「・・・まあ、しょうがないから、私達だけで先に始めましょ。
とりあえず各自の案を聞かせてもらえるかしら?」
 
ヴァルアースの呼びかけに対して、ラーミアがすーっと右手を上げる。
 
「・・・とにかくモンスターを狩るしかないと思う。生産に使う収集品を
集めれば結構稼ぎになるし、ユニーク武器が出ればなおさらだから。」
 
「んー・・・、無難な案ではあるけれど、今は急を要する事態なの。
できれば一気に遅れを取り戻せる方法がいいわね。」
 
ヴァルアースの反証に、ラーミアは手を下ろし、その場から下がる。
 
「ふふふ、やっぱりどいつもこいつも頼りにならないわね・・・」
 
レイフィムが腕を組みながら、不敵な笑みをもらす。
 
「レイフィム、何かいい案があるの?」
 
「それは・・・これよ!!」
 
レイフィムはそう言って懐から金槌と金台を取り出した。
 
「つまり、こういうこと?安めの素材をかき集めてそれを強化し、
フリマやオークションでさばく、と。」
 
ヴァルアールの確認に対して、レイフィムは強く頷く。
 
「そうよ!これならかかる費用は少ないし、うまくいけば、一気に大金を
せしめることができるわ!!」
 
ヴァルアースはしばし考えて込んでいたが・・・
 
「レイフィムの提案にしては悪くないわね。うん、それで行きましょう!
それじゃ、各自、素材を集めて一旦ベロスに集まりましょ。」
 
--------------------------------------------------------------------------
 
[ベロス 噴水前]
 
「ふぅ、まあこんなものかしら・・・っと」
 
レイフィムは右手で額の汗をぬぐい、完成した服を両手で持ち上げる。
その傍らでラーミアも出来上がった剣を抱えて、コクコクと頷いている。
 
しかしその一方・・・
 
「ううぅ・・・」
 
町の片隅で小さく蹲るヴァルアース。
その周りには数多くの残骸が散らばっている。
 
「・・・それにしてもセンスないね、ヴァル」
 
レイフィムがやってきて、ヴァルアースの肩をポンポン、と叩いた。
 
「そうよ、私にはきっと破壊神がついてるのよ・・・そうに違いないわ・・・」
 
ヴァルアースはよくわからないことをブツブツとつぶやいている。
違う世界にでもトリップしてしまったのだろうか?
 
「まあ・・・そろそろ完成した品を売却していってよいんじゃないか?」
 
ラーミアの提案に対し、レイフィムはチッチッチと舌を鳴らす。
 
「甘いわね。これらを売却したお金で最後の勝負をかけるわ!」
 
「勝負?それは・・・」
 
「まあ百聞は一見にしかず、よ。とにかくここで待ってなさい!!」
 
そう言ってレイフィムはどこかへと駆け出していった。
 
-------------------------------------------------------------------------
 
数刻後、レイフィムはベロスの噴水前へ戻ってきた。
そして懐には光輝く二本の剣を抱えている。
 
「それは・・・ヴァルキリーニ刀かい?」
 
「そうよ!仕上げにこいつを鍛えて売れば、大金持ち間違いないわ!!」
 
「あなたねぇ、確かにそれはそうだけど、失敗したらどうするの?」
 
「素人の発想ね・・・甘いわヴァル!!」
 
ヴァルアースの言葉に対してレイフィムは突如猛反論する。
 
「な、なによ・・・」
 
「流れがきてるときはいけるところまでいくの!それがギャンブルの鉄則よ!!」
 
いつからギャンブルの世界に突入したのだろう。
 
「それにもう買っちゃったもーん。売りなおしてもいいけどまた時間はかかるし、
元金よりマイナスになっちゃうよ、たぶん。」
 
「むむむ・・・」
 
ヴァルアースは考え込んだが、レイフィムの言うことは間違いではなかったし、
何よりもギルドには早急にお金が必要だった。
 
「・・・いいわ、やりましょう。」
 
「・・・いいの?」
 
ラーミアの確認に対して、ヴァルアースは渋々首を縦振った。
 
「まあ見てなさい!私が見事成功させてあげるから!!」
 
レイフィムはベロスのロハンの元へ行き、大量のパズルを購入して戻ってきた。
 
「まずは最大OPをつけるわよ!!」
 
レイフィムはヴァルキリー二刀に次々とパズルを貼り付けていく。
その表情には微塵も恐れはなく、結果も見事に成功していく。
 
「お・・・おおお!!」
 
その結果に驚きを隠せないヴァルアース。
 
「見なさい!完成よ!!」
 
掲げられた二刀にはLv11までのパズルが張られていた。
ついた数字も申し分ない。
 
「まあ本当は12まで張りたいところだけど、嫌な予感がするから、
ここでストップしておくわ。」
 
レイフィムの性格なら、向こう見ずに限界まで突っ走りそうなものだが、
意外と冷静である。
 
これはひょっとするといけるのかもしれない。
ヴァルアースはそう思い始めていた。
 
「じゃあ、次はいよいよ、強化していくわよ!!」
 
レイフィムは金色に輝くハンマーをクルクルと回し、セットに入る。
そして勢いよくヴァルキリー二刀を叩いていく。
 
「うおおぉぉ!!」
 
1・・・2・・・3・・・4・・・どんどん増えていく強化数値。
レイフィムの勢いはとどまるところを知らないのか。
 
「とりあえず+4まで行ったんだし、ここまででいいんじゃないか?」
 
ラーミアがレイフィムにそう提案する。
しかしレイフィムは止まらない。
 
「あまい!私のカンは告げているわ!+7までいけ、と!!」
 
なんの根拠があるのか全く理解はできないが、それでもレイフィムは強化を
続けていく。
 
「うおおおおぉぉぉぉ!!」
 
5・・・6・・・さらに増えていく強化数値。
 
(すごいわレイフィム。今のあなたには神が舞い降りている!!)
 
ヴァルアースの目がレイフィムの姿を捉える。
その姿はまぶしくて視認できないほど、光輝いて見えた。
 
「これで終わりよ!フィニッシュ!!」
 
トドメとばかりにハンマーを振り下ろすレイフィム。
そして次の瞬間・・・
 
ポキッ
 
「あ・・・」
 
レイフィムの口から漏れる感嘆の声。

『・・・・・・』
 
そして辺りには気まずい静寂が訪れる。
 
「やっちゃった。てへっ♪」
 
レイフィムは舌を出し、軽くウインクしながらおどけて見せる。
 
その傍ら、やっぱりね、という表情を見せるラーミア。
しかしヴァルアースは収まらない。
 
「ど・・・ど・・・ど・・・」
 
ヴァルアースは俯きながら全身を震わせている。
 
「どうするのよ一体!?強化のために使ったハンマー代で残った資金も
完全に無くなったじゃない!??」
 
「さすがの私の強運もヴァルの破壊神には勝てなかった、ということで・・・」
 
「説明になってない!!」
 
ヴァルの気迫に押されるレイフィム。
 
「ま・・・まあ、最悪またクロカゲに稼いでもらえばいいじゃない。
最悪病院のベッドから引っ張ってくるし、さ。」
 
レイフィムはどさくさ紛れにとんでもないことを言い出す。
 
「ううう・・・もう終わりだわ・・・」
 
ガックリとその場に崩れ落ちるヴァルアース。
しかしその肩を不意にポンポンと叩かれる。
 
「あれー?皆さん、何してるですか?こんなところで。」
 
ヴァルアースの肩を叩いたのは、その場に現れなかった風生である。
 
「何・・・って。いよいよギルドの資金が完全になくなったのよ。
もうどうしようもないわ・・・。」
 
「んー・・・そんなことないと思いますよ。」
 
「慰めはよして」
 
「だって、ほら。」
 
風生は笑いながら、肩に担いだ大きな袋から何かを取り出す。
そしてその場にはドサドサと赤い布地が積みあがっていく。
 
「こ・・・これは!!」
 
「えへへ、大量だったのですよ。」
 
ヴァルアースの目に飛び込んできたのは、大量の赤いマントだった。
 
着けた者の意思に合わせて自由に動くそのマントは、ラビナのマントと言われ、
冒険者の間で非常に高値で取引される装備品である。
 
「風生、あなた最高よっ!!」
 
ひしっ、と風生に抱きつくヴァルアース。
思い切りしがみつかれたため、風生の顔に苦悶の表情が浮かぶ。

「ちょ、苦し・・・」
 
その様子にも気づかずに締め上げ続けるヴァルアース。
 
「むぎう・・・」
 
その結果、風生は泡を吹きながらその場に崩れ落ちた。
 
(ちぇっ、つまんないの。)
 
その様子を見てたレイフィムはつまらなそうに軽く舌打ちした。
 
--------------------------------------------------------------------------
 
[ギルドルーム]
 
「ああ、ようやく戻ってこれたわ・・・ここへ!!」
 
ようやく返還が認められたギルドルームへレイフィムは一緒にやってきていた。
感慨にふけるヴァルアースを尻目にレイフィムはなんとなくその場をウロウロする。
 
(資金が戻ったのはいいけど、なんだか釈然としないなぁ。)
 
レイフィムはなんとなく腕を組む。
 
(今までギルドのことにまるっきり無頓着だったヴァルが、今回に限り
あんなに必死なるなんて・・・)
 
ウロウロしていたレイフィムだったが、ふと前に出した足に地面の
出っ張りがひっかかる。
 
その結果、レイフィムは派手に前方に転んでしまった。
 
(っつうぅ・・・あれ?)
 
よく見ると、足がひっかかった場所の地面がわずかに『ズレている』様子が見てとれた。
 
(なんだろ、これ。)
 
そのズレた場所をなんとなくひっぱってみると、床が横にスライドするようになっている。
どうやら隠し扉らしい。
 
(うーん・・・)
 
なんとなく扉の先に足を進めていくレイフィム。
扉の下には階段が続いており、奥は小さな部屋になっていた。
 
「こ、これは・・・!!!」
 
レイフィムは驚きに目を見開かせる。
彼女の目に飛び込んできたもの、それは、見渡す限りの酒瓶の山だった。
 
ワイン、日本酒、焼酎など、少し涼しく設定されているその部屋にはありとあらゆる
お酒が安置されている。
 
(そうか!だからヴァルはあんなに必死に・・・)
 
コツン
 
軽く後ずさるレイフィムのかかとに何かがぶつかった。
 
(・・・?)
 
嫌な予感がして、恐る恐る振り向いたその先には、長く伸びるクリーム色の髪・・・
 
「見~~た~~な~~・・・!!」
 
そこには今までレイフィムが見たことないような鬼の形相を浮かべるヴァルアースがいた。
 
「う・・・うきょおおぉぉぉ!!」

ギルドルームの地下室にレイフィムの絶叫が木霊した。
 
--------------------------------------------------------------------------
 
(あれ、ここは・・・)
 
後日、ベッドで目覚めたレイフィム。
 
(なんだか、大変なものを見たような気がするんだけど・・・なんだっけ?)
 
そしてポリポリと頭を掻く。
目覚めた彼女の頭からは前日の記憶はスッポリと抜け落ちていたそうな。
 








<あとがきがわりに>

はい、今回のお話、いかがだったでしょうか。
前回に引き続き、ギルドのお話です。

実際のゲーム内ではギルド内での資金繰りなどございませんが、
個人の資金繰りのために、今回のようなことをなさるプレイヤー様は
結構いらっしゃるのではないでしょうか?

くれぐれもエンチャ破産やトニオに貢ぐのはほどほどにしましょうね(苦笑

それでは本日はこのへんで失礼~




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